こんにちは!まちブロです。
春になると思い出す風景がある。祖父母に手を引かれながら登った、家の近くの小高い山(藤沢山にある白川城跡)。その頂付近にぽつんと立っていた一本桜のことだ。
家からの山道はそれほど急ではなかったが、幼い私には少し大変だった。祖父母は私の歩幅に合わせてゆっくりと歩き、やがて、目の前に大きな桜の木が現れた。淡いピンクの花が空を覆うように広がり、まるで夢の中に迷い込んだようだった。
祖母が風呂敷を広げ、手作りのおにぎりや煮物、漬物を並べた。「〇〇〇(私の名前)、いっぱい食べないと大きくならないぞ」と、祖父が大きなおにぎりを私の手にのせてくれた。その温かさと、しっとりとご飯に張り付いている海苔の風味、ほんのり塩気のある味が今でも忘れられない。桜の花びらがひらひらと舞い、おにぎりの上に落ちてくる。風が吹くたびに、花びらが雪のように舞い散った。寡黙な祖父母だったので、特に何を話すわけでもなかったけれど、桜を眺める横顔を私はただぼんやりと見つめていた。
時は流れて、祖父母はもうとっくの昔に亡くなったけれど、あの一本桜は今も変わらず春を迎えているのだろうか。風に舞う花びらの向こうに、ありし日の祖父母の顔が見えるような気がして、桜が咲いたら一人でこっそり行ってみようと思っている。
読者の皆さんも、ぜひ、お散歩やお花見を楽しみながら、白河の美しい春の訪れを満喫してください。
白河市の桜情報は、こちらからご覧ください。
(まちづくり推進係 剛)
2025年3月28日金曜日
桜の下で、あの日のまま
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白河駅に降り立ったときに見た小峰城の桜の美しさは今でも覚えています。長い歴史の中で様々な人々の春を桜は見てきたのでしょうね。
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